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ぼくはしなない
まったく久しぶりに更新する「大人のための国語講座」。
これから続く文章は、私の師である方が高校受験にあたり
開いた講座の一部です。

現実は楽しいし、過去なんか振り返りたくない。
考えることよりも、食べていくことで精一杯だ。

と思っている人は必ず読まないでほしい。

ただ、日々の人生に矛盾を感じていたり、
人間の本質を少しでも知りたい、と思う人は読んでいいかもしれない。



ぼくはしなない    岡 真史(おか まさふみ)


ぼくはしなない

ぼくは
しぬかもしれない
でもぼくはしねない
いやしなないんだ
ぼくだけは
ぜったいにしなない
なぜならば
ぼくは
じぶんじしんだから

昭和五十年七月十七日、暑かった一日が暮れ、夕闇に遠雷の音が聞こえていた時、
東京郊外のひとつの高層ビルから、一人の少年が大空に向かって身を投げた。
中学一年生の岡真史。十二歳。

なぜ?両親はもとよりだれにも思い当たるふしはない。遺書もない。なぜ?

真史の父親は作家の高史明(コサミヨン)、母親の岡百合子は当時高校の教師。
めぐまれた環境の一人っ子。
父親が朝鮮籍であるということ以外なにひとつ普通の家庭と変わらない。
むしろあらゆる面からいって立派な家庭環境で、すくすくと育っていった明るい
素直な頭のいい少年であった。

その真史少年の部屋に、詩集のノートが一冊残されていた。
文房具屋に行ったとき母親にねだって買ってもらったという白い表紙のノートである。
一年後、思いためらったすえ、両親によってそのノートが世に送り出された。
『ぼくは12歳』と題された詩集である。
小学六年生の秋から死のその日までに書かれた六十六篇の詩と十四篇の作文が収められている。

これらの詩は、詩そのものとして読むべきであるかもしれないが、
それはまた、十二歳で自死した一人の少年が最後にだれかへ伝えようとしたメッセージでもある。
この詩集を開く者はまず、たとえば、小学六年生の少年が次のように自分の未来を幻視体験して
いることを知って愕然とするだろう。


わすれかけていたワイングラスに/ワインを入れる
わすれかけていたワイングラスに/くちびるをよせれば
すぎさった日々を思いだす/そうあのころは19さい・・・・・・
やっと大学に入れたといって/おいわいのかんぱいをした/ワイングラス・・・・・・
けっこんしたばん/ワインとともに/このワイングラスもりょこうした
ぼくのあわいせい春を/ずっとみてきたワイングラス



真史少年も時代の子であることに変わりない。
いかに早熟であっても、明治大正はもとより昭和初期には、このような十二歳はあり得なかった。
ここで私が思い出すのは、ある十九歳の女子学生がいった
「私の夢は十二歳にかえること」ということばである。
現代の繁栄の陰に隠された若い人たちの底ぶかいアンニュイ(倦怠)をどう考えたらいいのであろうか―。

母親の百合子によれば、「小さい時から聞きわけがよく、優しい、手のかからない子、
茶目で陽気で、社交的で、本を読むことと音楽が特別に好きな少年」であったという真史は、
ときに「たくさん人がいると/自分はきちがいになる」と感じ、
人間を考えれば考えるほど、「人間ってみんな百面相だ」と考えていた少年でもあった。

サン・テグジュペリの『星の王子さま』や夏目漱石の『こころ』を愛読していた少年は、
死の三日前の七月十四日の晩、母親の誕生日を祝う気持ちでビートルズのレコードを
かけ母親に熱っぽく語りかけ、二日前の晩には父親と母親の前で国鉄労働者の『便所掃除』という
詩を感動をこめて朗読したという。
その少年は、その時すでにこんな詩をノートにそっと書きつけていたのである。

ひとり
くずれさるのを
まつだけ

そして、死の直前に書かれたと思われるのが、この詩集最後の「ぼくはしなない」という九行である。
存在することの驚き、死の世界への渇望―。
大空へ向かって飛翔した純粋無垢の魂はいったい何を私たちに告げようとしているのであろうか。

この翌年には、戦後生まれが人口の半数となり、マスコミは乱塾時代、ローティーンの自殺が目立つ
といったこと取り上げていた。


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後書き(感想)

この文章はきわめて大人の視点をして読解する必要があります。
あなたは決して作者に同調してはいけない。
私的な文字となりますが、これを通じてあなたが大人になる過程を
導くことができたとき、もっと様々な観点から人生や人をみることが
できるのではないでしょうか、と書きます。
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